平成30年度 

愛媛県教育会短歌・川柳・自由律俳句募集作品

 

応 募 短 歌

十二センチの靴に大地を踏みしめて幼子は歩む初めての秋

                  愛南町  前田  充

閉校の日より校舎に人絶えて消されず残る白墨の文字

                  松山市  門屋 泰輝

どんぐりを拾う童等嬉々として小暗き森の落葉蹴り行く

                  四国中央市 石川 節子

応 募 川 柳

泥んこの足がリズムの田植え唄    松山市  関谷 省三

犠牲者を刻み供養の摩文仁丘     松山市  丹下 友和

帰路急ぐ教師の顔が母になる     松山市  上田 千鳥

防犯へ父さんの靴置いてみる     松山市  川口 博子

さらさらとは書けぬ遺言まだ八十路  松山市  姫田 祐輔 

ゆっくりと春をアレンジする冬芽   松山市  岡本 恭子

ドームの黒い黙を刻んできた父よ   松山市  仙波 弘子

責任者深いお辞儀の侘び姿      松山市  柏井 正子

使ってた父のおもかげ文房具     松山市  白石 和子

混沌をさらさら溶かす曼荼羅図    松山市  山下惠美子

夫婦喧嘩裁かれたのは有田焼     松山市  池谷三和子

少年の誓いまっ白な雲に乗る     松山市  髙橋 輝子

思考回路プラスばかりでショートする 松山市  松本 玲子

オーシャンブルーの海に捧げる鎮魂歌 松山市  栗田 忠士

 

応募自由律俳句(定型句も含む)

何故かふと父母が恋しくなる日暮     松山市  宮田 頼行

鄙の駅囲む火鉢に笑み交わす        松山市  池田 容子

落椿空の深淵新たにす        松山市  三好 靖子




平成29年度 

愛媛県教育会短歌・川柳・自由律俳句募集作品

 

応 募 短 歌

この道で幾多の教師来たりしか隧道抜けて山黌見ゆる

                久万高原町  門屋 泰輝

拾ひたる仔猫の小さく鳴く土間にパジャマの幼がまた降りて行く

                  城辺町  前田  充

応 募 川 柳

散り散りの記憶を紡ぐ母卒寿     松山市  松本 玲子

ゆっくりと春をアレンジする冬芽   松山市  岡本 恭子

過去は過去明日をさがす鐘をつく   松山市  髙橋 輝子

師走の街人それぞれに響く鐘     松山市  川口 博子

波乱を生きた芙美子の街でもらう秋  松山市  仙波 弘子

入学へ春色で刺す頭文字       松山市  上田 千鳥

躓いた石が送ってきたサイン     松山市  栗田 忠士

大臣のジョークで揺れる総理の座   松山市  関谷 省三

応募自由律俳句(定型句も含む)

分け入って故郷の径上りけり         松山市  宮田 頼行

大寒波野菜高騰道の駅        内子町  小野植元幸




平成28年度
愛媛県教育会短歌・川柳・自由律俳句応募作品

 

応 募 短 歌

山は雪里は暖の春の日に吾子生まれけり声高にして

                  伊予市  井手窪 理

父母逝きて境も見へぬ荒畑は入るもこわしと眺め帰りぬ

                  松山市  野尻 精一

満天の月夜に白鷺仰ぎみる坊ちゃん人形我も連なる

                  西宮市  今井  保

若かりし父と拓きし山畑は山に還りて山百合の咲く

                  愛南町  前田  充

応 募 川 柳

車止め家族会議で多数決       西条市  一色 早苗

善人の笑顔は汗を惜しまない     宇和島市 米子 達雄

値段札9の数字が巾効かす      今治市  杉浦 幸男

八十三手術に生かされもうけもの   内子町  小野植元幸

 

応募自由律俳句(定型句も含む)

宇和海にふり向がたき寒さかな      宇和島市 米子 達雄

月に映えみかんの山がルミエール     西条市  一色 早苗

梅雨晴間将棋の相手は明日にして   松山市  野尻 精一

名月を中空に置き帰途に就く     伊予市  井手窪 理

小寒大寒あそこもここも空き店舗   今治市  杉浦 幸男

散歩してだれにもあわない過疎の道  内子町  小野植元幸

かつて祖父地酒引っかけ戦争談義   松山市  宮田 頼行

里山の廃屋の庭霜柱         西条市  高橋  和

 



平成27年度 

愛媛県教育会短歌・川柳・自由律俳句募集作品

応 募 短 歌

父綯いしひめそ織り機にセットして織りし筵の三十余枚 

                  今治市  森 登志雄


四人の子よくぞ我が子に生まれけり神の恵みか仏の恵み

                  今治市  森 ユキ子


満席となれるホールを揺るがせて山下洋輔ピアノに踊る

                  愛南町  前田  充


応 募 川 柳

ひざ痛め元気とりえがゼロになり   西条市  一色 早苗

背広着て下駄を履きたるニュールック 今治市  森 登志雄

健康は何より宝と思い知る      今治市  森 ユキ子

偉い方頭を下げて二十秒       松山市  松友 順三

駄目駄目と駄目な叱りで駄目にする  松山市  丹下 友和

飽食に食べられる物を捨てる時代   内子町  小野植元幸

柿一つ取り残されて夕陽落ち     大洲市  鎌田 文俊

善人の知恵は幸せ呼び起こす     宇和島市 米子 達雄

  

応募自由律俳句(定型句も含む)

ダイヤ婚テレビ新聞広報に      今治市  森 登志雄

ダイヤ婚二人揃いて草引きぬ     今治市  森 ユキ子

入学へ咲けとはなむけ咲くさくら   松山市  丹下 友和

鯛の粗新菊入り汁匂いよし      内子町  小野植元幸

故郷の道を狭める稲穂かな      宇和島市  米子 達雄

霜柱踏んで早足バス停へ           西条市   髙橋   和

芋だきにすすきをそえて秋惜しむ      西条市    一色 早苗






平成26年度 

愛媛県教育会短歌・川柳・自由律俳句募集作品

応 募 短 歌

豊作といえども落穂ひろいきてかわかす努力農なればする

                           新居浜市 曽我部福童

新聞に生まれ育ちし宗方の櫂伝馬載り想い出しきり

                  今治市  森 登志雄

結婚の記念に植えし五葉松共に育ちて今日ダイヤ婚

                  今治市  森 ユキ子

木犀の香をなつかしみ亡き人の(かたへ)に立ちてゐるやうな午後

                  愛南町  前田  充

応 募 川 柳

パソコンで不登校生がよみがえり   新居浜市 曽我部福童

孫笑うしてもらう年でボランティア  西条市  一色 早苗

横綱はすべてモンゴルでも国技    今治市  森 登志雄

おいこりゃと呼ばれいつしかダイヤ婚 今治市  森 ユキ子

高齢になるにしたがい減る賀状    内子町  小野植元幸

教え子に道で出会うも名で呼べず   今治市  杉浦 幸男

最敬礼頭をさげて二十秒       松山市  松友 順三

ふる里の友を案じる流れ星      宇和島市 米子 達雄


応募自由律俳句(定型句も含む)

旧友を暖め落葉庭に燃ゆ          新居浜市 曽我部福童

君知るや父の俳号楢峰を       今治市  森 登志雄

段畑や二人元気に草を引き      今治市  森 ユキ子

厄落し石段ごとに一円玉の薬王寺   内子町  小野植元幸

前庭に雑草茂る空き家かな      今治市  杉浦 幸男

情念を静かに秘めた花の色      宇和島市 米子 達雄





平成25年度 

愛媛県教育会短歌・川柳・自由律俳句募集作品

応 募 短 歌

黒バラは遠き子よりの贈り物八十四歳母誕生日    新居浜市 印南 秀克

有難や生まれ育ちし宗方の友の汗しむみかん味わう   今治市 森 登志雄

老いの身に鞭打ち作る無農薬野菜を食べる孫の笑顔よ  今治市 森 ユキ子

注蓮飾りのわずかな稲穂を雀らは啄みながら春を寿ぐ   大洲市 小澤マスミ

逝きし夫の育てゐし蕪がみづみづと葉を広げをり裏の畑に 愛南町 前田  充

応 募 川 柳

豆撒きは爺の役目よ総入歯     新居浜市 印南 秀克

大根が土を足場に背伸びする     今治市 杉浦 幸男

炊き付けに一番易き新聞紙      今治市 森 登志雄

朝食はパンに限ると米農家      今治市 森 ユキ子

時太鼓湯舟につかり伊予訛      松山市 松友 順三

ガソリンが猫の目変わるガソリン店  内子町 小野植元幸

散歩道子らの挨拶いい笑顔     宇和島市 米子 達雄

応募自由律俳句(定型句も含む)

青銅の馬のいななき年明くる    新居浜市 印南 秀克

日脚伸び歩き遍路の足軽く      西条市 高橋  和 

草深く廃校の門見つけたり      今治市 杉浦 幸男

入門の()に絵手紙を連日に     今治市 森 登志雄

水清し八十路を生きて今日も畑    今治市 森 ユキ子

萩寺や境内満開巡拝者        内子町 小野植元幸

一筋に生きて素直な生き字引    宇和島市 米子 達雄